006

このまま

 

電車に乗る

駅がすぎる

またひとつ駅がすぎる

 

このままずっと乗り続ければ  どこか

私が探してる場所にたどり着くのだろうか

 

降りる駅が近づくと 

いつもどきどきする

 

このまま降りなければ

 

帰りたくない

 

家にも  仕事場にも  この街にも

 

私が知ってる場所  どこにも帰りたくない

知らないどこかに行きたい

 

その繰り返し

 

 

覚えられない街へ行きたい

 

毎日変わっていく街へ行きたい

 

 

約束なんか破って

全部忘れたい

無責任に  どこか遠くへ

 

そうして  みんなに見捨てられたい

 

永遠に  乗り続けたい

 

何もかも失っていい  この街を出られるのなら

一度も好きになれなかった

なんの思い出もない

悪夢のような日々を過ごした

 

それは言いすぎたかもしれない

 

この街で息をして

ここで私は作られた

大嫌いなこの街に作られた

 

思い出を全部悪夢に変換してしまう

楽しかった思い出は忘れた

覚えてるのは  この街じゃない

 

はやく

怖くて

苦くて

楽しくて

つまらなくて

甘い

そんな

日常が欲しい

 

いつか

 

 

このまま  駅を過ぎれば